薔薇の似合う人生とは

俺たちの生き様 まぁ~るでPicture

"兎角この世"をプロパガンダして/逆張りの先に小林私

昨年末から一人ラジオを始めて、近況やオタク事はそちらでベラベラ話していた。

が、ついに文章を書きたくなったので、同じく年末からハマっている小林私という人物について語ろうと思う。長文を書かせろ。13000字を超えたぞ。

※どこの配信で何を喋ったか再確認が難しいので間違ったことを書いていたら申し訳ない

 

いつも通りファーストインパクトから話そう。

「ワイは常田大希になるんや!!」エレキギターを衝動買いした私。

もちろんギターを買って数か月で常田大希になれる訳はなく、じゃあCreepy Nutsでも弾くかとYouTubeで「クリーピーナッツ ギター」と検索した。

本当に身の程知らずのため「ぬえの鳴く夜は」なんかを弾ければいいなと思っていたがTAB譜なんてなかったので、他にサムネを見て気になった動画を再生した。

www.youtube.com

これがシンガーソングライター、小林私との出会いである。2022年1月のことであろう。

珍しく時期まで覚えてるのは何故だろうか。それに邂逅からハマるまでずいぶん期間が空いていないか。それはまあ、後ほど。

動画を見た感想はこうだ。

綺麗なおねえさんがクリーピーを弾き語り?!→めっちゃ低音のがなり声が聞こえてくるのだが→おねえさんに戻った……

クッッソおもんなくて100万回は言われているだろう、本人ももう聞きたくないと思われるタイプの感想。なのでこういう話はもうおしまい。

私は男女問わず、がなり強めの歌唱をする人が好きだ。つんく♂にそう教育されている。

他の人気動画に目を通すと、「異邦人」*1と「ハッピー・ジャムジャム」をカバーしていて、この人は信頼できる人だと確信した。

とりあえず本人のTwitterを見ると(おそらく半年ROMれの方)、近々ラジオに出ることが分かった。この時点では大して調べたりせず、ラジオを聴けば大体人柄が分かるだろうと思っていた。

結果、そのラジオは小林私が寝坊し欠席となった。そこからしばらく彼に関する記憶はない。

本人も寝坊したことがトラウマになっているようだし、今思えばすごくすごく大変な時期だったと思われる。もっと寛容でいりゃよかったな。

月日は経ち、そこからの再会は明確に覚えていない。

なんでか知らないが生配信を見るようになっていて、「この人、カバーだけじゃなくオリジナル曲も出してて、それがとてつもなく良い。あとすごいオタクだ!!」ということに気付いてしまう。

12月に雪の中チャリでCDを買いに行った。そこからはわりと小林私しか聴けない身体になっている。念願のメジャーアルバムも楽しみだ……

 

ということで導入から1000字超え。ここからオリジナル曲、ギター、配信などについて話す。

オリジナル曲

私が好きな曲。何よりもまず短調であること。ハッピーでない歌詞、もうどうしようもなく暗くたっていい。早口で言葉が詰まっている。ファンクか歌謡曲の要素が含まれる。せっかちすぎてなかなかバラードを聴けない。チルエモとかいらんねん、うるせー方がいい。

年々好きな曲、というより苦手な曲が増えていくのが目下の悩みである。

そこにバスっとハマってきたのが小林私のオリジナル曲だ。

まずは音源化されているものに限って、できればアルバムの中から数曲絞って語れるといい。絞れるだろうか。

「健康を患う」

まず、タイトルの「健康を患う」という言葉のセンスが良すぎないか??

ちなみに小林私の音楽は基本アコギ一本の弾き語りスタイルだが、アルバムではゴリゴリのアレンジが入っている。

YouTubeにアップされている弾き語りとCDを反復横跳びして楽しめる。あとサブスクで聴くよりCDを買っておいた方がいいと思う。時々消えたり音源が変わったりするので。

 

HEALTHY

このアルバムは単純に「HEALTHY聴きてえ~~~」という衝動で買った。

私は酒も煙草も嗜まないし冷蔵庫も綺麗だけど、健康的な生活とは程遠い。

2番以降の歌詞が怖いほど自分に刺さる。

中でも好きな一節は「死にたさとか生きたさとか"兎角この世"をプロパガンダして」だ。本当はTwitterのbioに写経したい。キモいからやんないけど。

"生きたさ"より"死にたさ"の方が先に来ている。これ、なんとなく逆の方が"死にたそう"に感じるんだよな。

死にたくもあるけど、現実的に死ぬのは難しいというかそれはそれで面倒で。

結局生きづらい世の中で生きなきゃならないから、クソだりい"この世"にグチグチ言って"不出来と不得意と不安ばかり"の歌を好んでいる……アタシや!!

と勝手に共感させてもらってるが本当の解釈は知らん。

この曲には「健康的な生活をのぞんでみたのは良いけれど~」から始まるフレーズが2箇所あるが、冷蔵庫の食材が腐ってたり冷凍庫のアイスが霜だらけになってたり、冷蔵庫内の環境がよろしくないことが描かれている。

健康的でない生活の描写なんていくらでもあるのに、どちらも冷蔵庫という小っちゃい空間の中で表現しているのが良い。しかもドアを開けるまで中身のヤバさは分からないし。

冷蔵庫って人の健康に対する意識を直に表わすアイテムだなと思って。「健康を患う」というアルバムタイトルにふさわしい1曲である。

ちなみにアレンジバージョンのHEALTHYを始めて聴いた時は、シャンシャンシャンシャン!!ドッコドッコドッコドッコ!!というドラムにびっくりしてオクターブ下のちいかわみたいな声が出た。

「健康を患う」はドラムのアレンジが好きだな。

 

共犯

歌詞カード1行目→「大丈夫 君はもう大丈夫 僕がそばにいる」

歌詞カード3行目→「な ん て 歌 の こ と な ん て 信 じ る な」

ほ~~んまそれ、曲を聴く前から最高すぎて手を叩いて喜んでしまった。

逆張りオタク、小林私。かくいう私もゴリゴリの逆張りオタクである。

私はありきたりなラブソング、特に"永遠の愛を誓うよ"系の曲は「Sexy Summerに雪が降る/Sexy Zone」しか認めていない。愛に永遠なんてないし。

2番の「ずっとそばにいるとか そんな言葉なんか無責任じゃないのか」という歌詞も、本当にそうなんだよ。無責任じゃないのか、の歌い方が好き。

恋人にも「ずっと好き」とは言わなかったし、さらに好きなアーティストやらなにやらにも「ずっと応援してます」とは言わないようにしている。

"ずっと"なんていずれ嘘になる。独り映画館でラ・ラ・ランドを6回観たキモ・オタクの私が言うんだから間違いないだろ。

もう逆張り関係なくキレ始めたので一旦落ち着く。

結局この曲って"そういう歌や言葉が嫌いな俺らって正義だよな~"っていうんじゃなくて、「羨ましい本心が恥ずかしくてこんな歌を歌う」という批判も入ってて。小林をカッコいいと思う俺らも共犯者として批判される。

羨ましいのか…貧しいのか…そうか……

ただ、過去のインタビューを読んでいると共犯を褒めたたえる音楽関係者が多く、音楽に関わる人もそういう歌のことをしゃらくせえと思ってるのかな…という気持ちになる。

 

「包装」

こちらは小林私本来のスタイルをそのまま収録したアコースティックアルバムとなっている。

こいつの何がすごいかと言うと、おそらく短調の曲のみが集められているのだ。マイナー狂歓喜

前作も圧倒的短調だったが、全曲短調というアルバムは珍しい。

もし他にも存在するのなら教えて欲しい。もともと短調多めのアーティストもアルバムの枚数が増えるほど偏りがなくなっていく傾向にあるからだ。

 

残飾

控えめに言って一番好きですね。残飾ばかり聴いているせいで次のアルバムに手を出すまで数か月かかってしまった。

何故好きかというと、どうしようもなく暗いからである。HEALTHYと比べるとガチで"死にそう"だ。死にそうだから好きというのもどうかと思うが。

「幸せがそこにあったとしても 手を出したら壊れてしまいそう それこそ死ねなくなってしまうの」

結果そこから"僕"がどうしたかは分からない。飾りで首を吊るのだけはやめてくれ。

1番とはガラッと変わった2B「rrr冷静なんてなァーーい…」からの流れが良すぎる。ずっと2番の話をしているが、小林私は2番以降150%を超える力でぶん殴ってくる。

指弾き部分のギターもめちゃくちゃカッコいいのだが、難しいからかライブではあまり披露されないらしい。罠。「生で残飾聴けるまで死ねないな~~」と掲げておくか。

ところで、YouTube概要欄の通りこいつを素直にラブソングとして受け取っていいのだろうか。

後のインタビューでは「胸を張ってラブソングと言えるのは日暮れ~くらい」と言っている。「スープが冷めても」「飛日」はラブソングのように取られがちだがそうではないとも答えている。

残飾こそ対象はどうとでも取れそうだし、ラブソングであろうがなかろうが好きなものは好きである。

ただこれが実体験だったらちょっと辛いなと思う。

 

アニメ漫画研究部の姫は俺のことが好きなんじゃないか

自分の大学にオタクが全然いなくて、友達のいる他大の漫研に入っていた私。

姫扱いまでされることはなかった*2が……もう察してくれ。

猫のニーハイを履いていたら危うく死んでいた。恐ろしい曲だよ。

まあ姫も男も女も関係なく、オタクは「左しか向いてない王子様を描いて」で苦しもうな。

なんとなく一人称"俺"に注目されがちだが、よく見ると"僕"の方が出現頻度が低い。タイトルも"俺"だし。

オス強めの時に"俺"が出てくるのかと思いきや、ベースは"俺"で姫と対峙してピュア童貞くんにされた時に"僕"が出てくるのかな。ナイト・フライト。

全然関係ないが、オタサーの姫がアラサーくらいになった時の末路が気になるんだよな。

左しか向いてない王子様はうたプリからジャニーズに変わって、もうあまり興味もないのにマッチングアプリの会話が最終的にガンダムトークになってしまうことに嘆いていたりして。

なんの話?

 

サラダとタコメーター

ボーナストラックです。CDを買おう。

今まで触れてこなかったが、小林私は韻をガチガチに踏んで言葉遊びを入れ込む特級日本語オタクである。

その力を惜しみなくブチ込んだのがこの1曲だ。サラダとタコメーターの意味は2サビ頭参照。

ギチギチに早口で詰め込まれた歌詞は、文字で読んでも気持ちいいし声に出しても気持ちいい。

個人的には「メタと認めて求め掃き溜めて」のマ行とタ行の応酬、LackザックズックDuckTotあたりのリズム感、「盲心と」「脳震盪」の韻が好きだ。

さらに引用というか元ネタも幅広い。童話コーナーなんかは分かりやすいが、散りばめられた哲学ネタには倫理の教科書を捨てなきゃよかったと思ったり。

ひろゆきの部分はイラっとくるし、1サビ時すら流行りのチークと同様→#ファインダー越しの世界→プラトン洞窟の比喩はキレッキレの悪口で最高である。

こんな感じで言葉で遊びまくっているがきちんと意味も通っている。らしい。難しい。

「全部説明していいならしたいけど言っちゃうとダサい」とは言いつつ、配信でポロポロ話してるのを集めたらけっこう教えてくれていると思う。

これって俺らが"無知蒙昧"だからか…初見で洞窟の比喩に気付いたリスナーカッコよすぎ。

 

「光を投げていた」

ガチで鍵盤のアレンジが良すぎのアルバム。

 

冬、頬の綻び、浮遊する祈り

インストだけ聴いたら「雪見だいふくっておいしいねえ~~」なんて歌詞でも良さそうなくらいポップ。だが、ちゃんと歌詞は暗い。*3

「進まないJR、奮わない計画 俺は間違えないから」

「他の誰でもやれることを出来ずに息するのはこれきりにしたいよ」

わ…

「このままずっとこうしてどうしようもないまま生きていくことが 嫌ではないのがたまらないほど恐ろしいんだ」

わァ……ぁ…

HEALTHYで言っていた"不出来と不得意と不安ばかり"の歌ってまさにこれじゃん…

ここの部分がまたHEALTHYの"そこまで悪くはないけど足りないような気がする"思考と並べられて良い。

暗い曲が多いけど"絶望"というよりは、ただただ"停滞"してる様が描かれているのが小林私っぽい。

美しく奏でられるアコーディオンも悲しく聞こえてきます。

「リブレス」といい、"暮らし"と"クラシック"が掛かってる曲が好き。

 

日暮れは窓辺に

これぞラブソングである。ソーシャルゲームアイドルマスターシャイニーカラーズ」に登場する「樋口円香」というキャラクターに向けた、プレイヤー小林私のラブソングである。

私は非常に真面目なオタクであるので、シャニマスをきちんとプレイするまでこれと浅倉の曲は聴かないようにしていた。

シャニマス、ほ~~んとすこ♥♥♥

ゲームのシステム、カード名、コミュの内容等オタクポイントをしっかり押さえている。

樋口円香といえばプロデューサーに対して当たりが強く、「ミスター・オールドタイプ」やら独特な言い回しをかましてくるところが生意気で愛おしい。

だから歌詞に"ミスター"が入っていたらいいな、なんて思っていたら「Mrs.シニカル」と返ってきて小林私良すぎ良すぎとなってしまった。

私事だが、ルカPSSRのためにずっと取っておいた無償ジュエルで爆死した時に「無償の愛じゃ足らないならいくらでも払うから」が胸にグサグサ刺さった。ガシャの描写が切実すぎる。

あと本当にアレンジがシャレてて、特にホーンセクション。

宝塚のショーで使って欲しいんだよな。中詰のちょっと前かな?次期トップコンビ候補が若手男役娘役いっぱい引き連れて踊ってるシーンで演奏されてるよね?劇場で見たし。

 

歌唱・ギターなど

ここまでは楽曲の、特に歌詞に焦点を当ててきた。まだ喋るぞ。

冒頭で少し"がなり"に触れたが、一旦置いておいて音域の話をする。

小林私の歌声は低い。本人は「自分の低い声が受け入れられるのは意外だった」というようなことを語っている。

確かに最近は女性のキーを軽々と出す男性ボーカルがもてはやされていたり、それこそニコ動なんかでは両声類と言われる男性歌い手がいたな…。

男性ボーカル、高い声出したもん勝ち!な風潮について、私は好きじゃない。そしてこれは僻みだ。

私は地声の音域がめちゃくちゃ狭く、声の高さを売りにしてるボーカルには全く届かず、なんならジャニーズの子らと地声最高音は大差ない。そして特別低い音域が出るわけでもない。

カラオケでジャニーズを歌い「そ、そんなにサビでhiAを連発されては困る……」と苦しんでいる。女性の曲はほぼ100%キーを下げる。

だから小林私は堂々と声が低く、カバーも自由自在にキーを下げているのがいいなと思った。

高音は努力次第らしいが、低音は生まれ持ったものらしい。じゃあ声低くて良くないか?しかもファルセットで綺麗にhiC#とか出ているし。充分じゃないか?

そしてこの低音にプラスの要素として加わるのが声質である。

ザラッとした声質。このザラザラががなりへと繋がっていく。がなり方はちょっと特殊で、わりと高音域を持続時間長めにがなっている。

共犯が分かりやすいかな。「目の前の箴ヴォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"オ"↑オ"↑オ↑"オ"↑オ"ン…」(この間6秒ほど)

いったいどうやったら…咳き込んだり声が裏返ったりしないのか…

がなり・巻き舌・発音のクセは小林私のパンチとなって楽曲に強さを与える。しかし、がなっているだけが小林私か?

がなっていない時の小林私は少し鼻にかかったような声で、気怠そうに穏やかな波みたいな歌い方をする。正直めちゃくちゃ売れ線の歌唱だと思う。

そこらへんのギャップがちょっぴり違和感をかもしだし、結果とてつもなく良い。良いんだ。

 

続いてギターの話。

アコギを弾いている姿を見て気付いたことがある。手がデッッッケエ。

バレーコードを弾くとき、ネックから人差し指飛び出すぎじゃないか?それってほんとに5弦ルート?第一関節のくぼみで6弦ミュートしてる?

フォームの問題もあるかもしれないが、あまりにも恵まれている。「Fコードはすぐ鳴った」羨ましい。

高校の軽音楽部でエレキを始めてからアコギに移行し、あまり音楽的なことは学ばずにやってきているらしい。

しかし、パワーコードでないブリッジミュート*4やスラップを手癖でやっていたり、スケールもなんだか感覚で分かっているし、「かっけえコード進行見つけた!」と思ったらそれが丸サ進行だった話が面白くて好きだ。

ピアノも三本指のティラノサウルス奏法でなんだか弾けている。すんげえセンスの持ち主なんだよな。

そもそも弾き語りというジャンルも今までろくに聴いてこなかったから、こんなに良いものだと思ってなかった。

最近少し複雑になってきたが、小林私が使うコードはシンプルだ。

「HEALTHY」と「線・辺・点」なんかカポ2で全く同じコード。なのに全然違う曲にしか聞こえない。

ストロークパターン・ピックと指弾き・リズム等手癖をこれでもかと引っ張り出し、毎回かっけえ曲をリスナーに聴かせてくれる。

 

アコギ弾き語りってめっちゃオモロい。そう思えたのはちょうど昨年家を買ったおかげでもある。

エレキを買った後に父親からアコギも押し付け貰ったが、当然隣人の自作ラップとピアノとドラムが聞こえるマンション(立派な鉄筋だったのに)では弾く気にならなかった。今は夜中にピックで弾いても多分大丈夫だ。分譲マンションってすげ~。

「エレキって一人で弾いてたら何をやっても練習でしかない」というようなことを小林私が言ってた気がする。バンドを組む気などなく一人でシコシコ「常田大希になるやで~」と弾いてる私。確かにそう。

キーもテンポも自由、いっぱい線を繋がなくていい、なにより軽い。アコギが楽すぎることに気付いてしまった。

8年くらい続けたら小林私になれるかな。もちろんエレキも弾くけどね。

 

生配信・オタク・インプットアウトプット

音楽の話は一通り終わった。ここからは小林私のさらにディープなところに迫っていく。

小林私に"落ちた"きっかけはYouTubeの生配信だと初めに述べた。

「ギターを弾くなど」とタイトルにあった。多分最初はギターを弾いていたところを見たのだと思う。お風呂上りにまたYouTubeを開いたら配信は続いており、ギターは床に捨てられ本人はオタクな話をしていた。

なんだこれ、良すぎる。本当にギターを弾く"など"だ。

小林私の配信は自由だ。弾き語りする。ゲーム実況する。絵を描く。飲み食いする。寝る。インセクトバトラーで遊ぶ。折り紙する。喋る。大喜利。喋る。喋る。

ミュージシャン小林私、正直この喋りがすんげえ。

漫画の話。シャニマスの話。喋り始めたら止まらない。

シャニマスの妄想・考察は全部面白い。突き進む妄想で勝手にキレたり、地獄を見たり。シャニPの彼女になりたい回が大好きだ。

一方シャニマスのカードに描かれる窓の構造が気になってしまい、散々考察した挙句建築学生など"窓の有識者"が集まってしまったのは本当に面白かった。

"オタクくんあるある"話なんかも、自分とリスナーをちくちくしつつ笑いに持っていく。

心の中に男のオタクと女のオタクを持ち合わせているため、女性向けジャンルの話も余裕だ。女オタク小林私、驚くほど理解りすぎている。あんスタミリしら回おすすめ。気になるキャラがほぼ同じで笑った。

小林私とそこそこ年は離れているが、オタクとして開花した時期がそう遠くないため共感できるところは多い。

小林私をオタクの道に突き落とした「ドラゴンクライシス!」もアニメは見ていなかったが、OPの「インモラリスト*5漫研内でプチバズっていた。

男子に「MVのほっちゃんって本当にアクションしてるのかな~~?」と聞いたら「途中でヒールの太さが変わるから」と返ってきて、視点が鋭い…と感服してしまった思い出がある。

 

また、小林私の配信を楽しく見られる理由が一つある。"私にとって"リスナーの民度が良いからだ。

某バンドのメンバーに対するファンのリプライがキショすぎて、もう開いていないアカウントがある。つまり"そういうの"が少ないということ。

じゃあ小林のリスナーとは。小林「お前ら」リスナー「小林!やい小林!」

クソみたいにタメ口。しかし圧倒的に"インターネット"を通ってきた奴らが多いので弁えるところは弁えている。荒らしや本当に空気の読めない奴もいるが別にそれはどうでもいい。

雑談タイムは基本的にリスナーのコメントを読みながら進んでいく。小林私とチューニングが合えば私もそこそこコメントを読んでもらっている。あんま目立ちたくないからほどほどでいい。

まあなんだかんだ配信の雰囲気作りは小林私の賢さによるものだと思う。変なコメントは無視。誤字や文章ぐちゃぐちゃのコメントも瞬時に分かりやすく言い換えている。思想の偏ったコメントには注意する。

わりとリスナーの自分語りも容認されていて、新社会人早々お局に弁当貰いローテ組まれニキなんか主役として小林とリスナーからアドバイスを貰っていた。本当に心配したが「春の風物詩だったみたいです」と解決報告があった。春の風物詩ってなんなんだその会社。

小林私はエゴサもするので、時たまオタクに話しかけたりもしている。オタクが上げた弾き語りカバー動画を見てコメントする配信もやっていたようだ。ちょっとこれは怖かった。でも好意的などころか良いアレンジは取り入れようとしていてオモロ。

なんだファンと距離近なのかと思えば、ライブでは客と目を合わせないらしい。知らん奴とは匿名インターネットというくくりでないと交流したくないようだ。

「ファンネームは作らない、できたら辞める」という発言がめちゃくちゃ好きだ。マジでファンネームいらねえ。ファンネームを一緒に作ってからがスタート!みたいな風潮何?

小林私とリスナーの絶妙な距離感が快適なのだ。

 

さて、基本的には小林私のギターとオタク話を楽しみに配信・アーカイブを見ている。

しかし一風変わった姿に心惹かれる回があった。

大阪のホテルから配信。話題は言葉の誤用について。スマホは配信に使っているため、寄せられた誤用についてググることができない。

小林私は「あとでちゃんと調べる。本来の意味と誤用の意味も書いてくれるとありがたい。」と、コメントを読みながらずっと鬼メモしている。

気になったことについてなあなあにせず、調べることを怠らない姿にいいな~~~と思ってしまった。

楽曲の話で"日本語オタク"というワードを出した。小林私は漫画もそうだがそれよりもずっと大量の本を読んできている。とにかく"国語"という教科に分類されるものに造詣が深い。

それは歌詞にも反映され、都々逸や百人一首、短歌等の引用がところどころ見られる。こういう話をポロっとするので曲に関する話題だけは聞き逃したくなく配信を全て追いたくなる。

理系ワイ、インターネットに転がる文ばかり読んで教養がないので怪しいと思ったところをひたすらググるしかない。ただ小林私は平気で量子力学の話もしてくる。いったいどこまで専門分野を広げてくるんだ。もう私が勝てる範囲は「錠剤」と「脳下垂体」しかない。*6

 

こんな感じで鬼のようなインプットを経て素晴らしい楽曲としてアウトプットされていく。のだが、小林私のアウトプットは曲に止まらない。

なんと小林私は美大卒で油画を専攻していた。インディーズとしてCDを出し始めた頃なんか、普通に美大生とシンガーソングライターの二足の草鞋生活だ。

最近も新しいアルバムと個展に出す絵を同時に制作するというむちゃくちゃなことをやっていた。アルバムのジャケット写真に使うためだけにパンも焼いた。

おまけにエッセイ・短編小説等なんでもありの連載も持っている。私はこいつをとても楽しみにしている。添えられているイラストもいい。「汽水域」とか。

結局、私は小林私から生まれる文章・言葉が好きなんだと思う。

小林私の発言が文章になってればなお良いので、過去の音楽雑誌はあらかた取り寄せたし、ネットに上がっているインタビュー記事はおそらく全部読んだ。

この流れで読んで欲しい連載の記事を一本上げておく。

thetv.jp

「笑い話にしたい」「ポップに書く」と言いつつも、内容はインディーズ期間にほぼ無給の時期があったこと・とにかくお金を盗られたor盗られそうになったこと等々ゴタゴタ話が綴られている。

生配信で本人から説明された時も目ん玉飛び出そうになったが、淡々と文章にされると更に重いパンチになる。

「生きていてくれて本当に良かった」なんて感情も湧いたけど、やっぱりこの人の文章が好きだなと思ってしまった。

「私は諸君に対する説明責任がある。」う~ん、好きだ。

ちなみにクレカ不正利用で14万7016円盗られた時に怒りつつもヘラヘラしてたのはこういう背景があったからか…と納得してしまった。

www.youtube.com

冒頭から真顔の「無限列車編始まってまう?」まで、たったの3分で疲労回復・ストレス軽減等の効果があるぞ。お金はちゃんと戻ってきたそう。

 

ナイスセクシー

小林私をもっと前から知っていれば良かったと思うことが多々ある。それは意外と"推し"(めんどくさいのでこの表現で片づけさせてくれ)と共演しているらしかったからだ。

ANNの仕事*7について語る配信で出てきた名前。「内田さん」

私が今年、小林私に加えて激推ししているバンドKroiの内田怜央のことだ。

れおくんと小林の会話聞きてえ~~~絶妙に合わなそう;;

そんなラジオ聞かせろよ…と凹んでいたらもう一つ衝撃が走る。

2021年、NHK「シブヤノオト」という音楽番組で、小林私は愛しのSexy Zoneと共演していた。

それは見ていたのだが…??

記憶がない。当時のツイートを遡っても何故か他局の悪口しか言っていなかった。

整理すると、シブヤノオトはリアタイしていない。その時間帯は他のラジオを聞くからだ。

では録画を見たはず。しかし「夏ハイ」プロモの時期は音楽番組を追うのに疲れており、バンバン早送りしていた。

ちょっと思い出したことがある。誰かが曲終わりに中島健人の持ちネタ「セクシーサンキュー」をブチ込んだ。それに対して暗い画面外から中島健人「ナイスセクシー!!!」という声だけが聞こえる、なんてくだりがTwitterで盛り上がっていたので、そこだけは見た、と思う。

私が尊敬してやまない中島健人とセクシーサンキューを交わした男こそ、小林私だったのだ。そんなことある?

もちろん録画など残っていない。しかも小林私が歌ったのは今となっては幻になってしまった曲「後付」。本当に良くないが、録画を売るよと言われたら買ってしまいそうだ。

オタクをやっているとこんなオモロいことが後から発掘されるんだなあ。気を抜けなくなってしまった。

そしてこんなオモロい仕事たちにも報酬支払われてなかったかもしれないのか…と真顔になってしまう。でも当時の仕事について話す小林私はとても楽しそうだった。

 

逆張りの先に

最後に小林私の好きな所を追加で3つ挙げておく。

1.Twitter for Android

Twitter for Androidほど信用できる言葉はない。

小林私のファンになった時は「Twitter for Androidであれ…Twitter for Androidであれ…」と祈りながら確認した。昨年末にこの表示は見れなくなったらしい。Twitterはもう終わりだ。

ちなみにネットでは若い女Android使ってる奴はヤバいみたいな物言いをされていた。それはそう。

小林のリスナーも「Twitterをダークモードで使ってる奴はオタク」とちくちく言葉を投げてくる。うるせ~~~黒ほどカッコいい色はないだろうが。

2.カズーを吹く

カズーを持ってるだけでも面白いのに、ハーモニカホルダーに無理矢理ブッ刺して使ってるのがいい。

ピューと吹く!ジャガー」に出てくる元そふとくり~むメンバーが使ってる楽器はだいたいオモロい。ヴィブラスラップとか。Kroiのライブで生ヴィブラスラップ聴いた時はめちゃくちゃ興奮したし。

3.ベリーダンスサークルに所属していた

大学3年から突然始めたのが謎で良い。強女すこ。

ベリーダンスって他のジャンルより魅せる以前にできるようになるまでが大変だと思う。ヒップアタックとかめちゃムズそう。

 

ここら辺の属性を"逆張り"とまとめていいのかは分からないが、どこかひねくれているは確かだ。

小林私が逆張り精神と偏屈さを持っていなかったら、おそらく好きにはなっていない。

ここからは自分の話だ。

ふと、何歳までこの逆張りを続けてもいいのだろうかと思う。

「30歳でジャニオタになったら逆にオモロいかな」と逆張り逆張り

結果他にもメジャーなアーティストをたくさん聴けるようになったので良かった。

一方、やはりメジャーを推していることの苦しさみたいなものもあるので、逆にちんちんバスターズとかの曲を聴いたりもしている。

正直メジャーだろうがなんだろうが自分の好みの曲が聴ければなんだっていい。

また、結婚という制度にも逆張りしてしまったため、「32歳で結婚諦めてファミリーマンション買ったらオモロいかな」と一旦退路を断ってみた。

そもそも大してモテるわけでもないし、人と暮らすにはあまりにも神経質すぎるからちょうど良い。でもマンションネタはそこまでウケが良くない気がしてきたのでそこは失敗だった気がする。

広い部屋に独り、テレビに小林私の配信をキャストする。

「「サウナムカつくよな!サウナの悪口皆で言わね?!」」

ゲラゲラ笑いながら「オロポはなんか、なあww」とテレビに向かって囁く。

……大丈夫か?!人もしくは女として終わりかけてないか??

 

小林私とは本当に悪口の波長が合う。友達(少ない)や職場の人とも充分悪口を言っているが、彼女らには嫌われたくないので言えないこともある。

ただ、ここで自分と小林私を同類にしてはいけない。小林私は友人に恵まれているし、ちゃんと恋人もいる。

「付き合いたいほど好きな人がいるってすごいな…」と当たり前のことに凹んだ夜もある。「共犯」の時に述べた持論の通り、恋愛に何も期待できなくなっている。

まあ、でも、逆張りでも、拗らせオタクのままでもいいか、と思い始めている。今は。

"清く正しい"人間でいようと頑張っていた時期もあったけど、無理してもしんどいだけだしな。

現状、ゴリゴリ仕事して自立した生活をして。誰にも迷惑かけてないはずだし、性格が終わってるからなんだというのだ。医療職は本当に性格が歪むぞ!

それに逆張り逆張り逆張り…を延々と続けることができるため、長期的に見ればマジョリティとマイノリティどっちにも属せる奴だ。

ただマジョリティにいても根の逆張り精神は消えないので、周りとはだいたい合わない。これがジャニオタの苦しみだ。

まあ、でも、一人でもいいか。

小林私みたいに一人の部屋からいろいろやってみようと思う。すでにブログ・ラジオ・音楽・絵…無駄に手を広げているが本当にやりたいことだけ適当にやる。

別にバズるどころか反応もなくていい。ラジオなんて私が自分で聞いて笑っている。

仕事以外のほんの少しの時間を"豊かに"したい。

 

 

ここ数年ずっと守ってきた「職業柄遠征しない」という誓いをついに破る。

小林私のワンマンのために東京に行く。小林のライブが一番感染症と縁が遠そうだ。

この前小林私のラジオ*8で、お台場とゆりかもめの悪口メールを読まれた。

ゆりかもめは酔うからお台場のZeppは困るな~~という内容に、「お台場のZeppは考えときます」と答えてくれた。

結果、会場は有楽町だ。東京で一番詳しい場所。仙台から目を瞑ってでも行けそうだ。

もちろんメールの時点でライブの会場は決まっていたのだろうが、見事な伏線回収。

開演までAndroidでダークモードのTwitterを見ています。

誰も目を合わせないで下さい。

 

 

*1:マジでマジで異邦人が好き。私は母親のことが本当に好きでないが、その理由の一つに"カラオケで異邦人を歌う人種の悪口を延々言う"というのがある。

*2:うちの漫研は女子の方が力を持っており、姫タイプはおらず何年かおきに暴君タイプの"女帝"が現れていた。そして女装男子が異常に多い。私も男子のすね毛を剃ったりブラジャー買うのを手伝ったりしていた。

*3:曲調ポップで悲しい歌詞は初期の及川光博が得意としている。名アルバム「噓とロマン」はずっと他者との相互不理解を歌っている。ガンダムと一緒。

*4:マジで何?この話題になると必ず「ブリッジミュートって言って~」ってパワーコードを弾いてくれるが、それはできるんだよ。どこの弦までミュートしてどこの弦まで弾いてどうストロークに取り入れてるんだ。

*5:作詞作曲清竜人。その後小林私も「どうなったっていいぜ」で清竜人にプロデュースされる運命。

*6:「風邪」という曲。何故「ベッドに突き刺さる"脳下垂体"」を選んだのだろうか。「風邪」「錠剤」「脳下垂体」を無理矢理こじつける。まず「かまずに飲み込んだ錠剤」は食前服用可なので風邪薬ではないだろう。としたら下垂体機能低下により風邪等ストレスが加わる場合はヒドロコルチゾンの増量が必要→錠剤とはコートリル錠ではないか。いや、ないな。

*7:2021年オールナイトニッポン0 LIVE in smash.

*8:なんとまあ、先日ラジオの生電話企画で直接お話をすることができた。逆張りシャニマスの話をできて嬉しかったが、もっと爪痕を残せたのではないかと未だに反省会をしている。素直に喜べよ。